歯周病
歯周病について
歯周病症状の段階について
軽度歯周病
症状
歯茎の腫れ、歯磨き時の出血があります。ただ、痛みを伴わなず、正しい歯磨きができていないと出血しないため、自分では気づかないことが多いです。
日常生活の支障
特にありません。
中等度歯周病
症状
歯茎の腫れ、出血に加えて、歯を支えている骨が溶けていきます。歯がグラグラするようになったり、歯が浮いたような感じがしたりします。
日常生活の支障
徐々に硬いものが噛みづらく感じます。
重度歯周病
症状
歯を支える骨の3分の2以上が溶け、歯周ポケットは非常に深くなります。歯茎が赤く腫れ上がり、歯と歯茎の境から膿が出てくることもあります。
日常生活の支障
歯がグラグラと揺れ、食事が摂りづらくなります。口臭も強くなります。
歯周病になる原因とは
歯周病は細菌感染症です。一番の原因は歯垢(プラーク)つまりバイオフィルムです。歯垢1mgの中には1億個以上の細菌がいると言われています。常在菌の全てが悪さをする菌ではなく、健康な状態の時はその均衡を保っています。歯と歯茎の境目に繁殖する細菌に感染し、細菌が増殖したり、免疫が低下したりした時に細菌の活動が活発になり、歯周組織に炎症が起き始めます。
歯周病になりやすい人とは
歯周病の一番の原因は歯垢(細菌)ですので、歯磨きが不十分な人や、歯並びが悪く磨き残しが起きやすい人は歯周病になりやすいです。
他にも喫煙や糖尿病、食いしばり・歯ぎしりがある、妊娠中の方は歯周病のリスクが上がります。
歯周病と全身疾患について
歯周病が全身に及ぼす影響は多くあります。その中でも糖尿病と歯周病は相互関係にあり、糖尿病が悪化すると歯周病も悪化すると言われています。逆に歯周病治療をすることで、インシュリンの数値が安定することもよくあります。その他にも以下の疾患を引き起こす可能性があります。
- 脳梗塞
- 誤嚥性肺炎
- 心筋梗塞
- 認知症
- 動脈硬化
- 低体重児出産
- 早産
歯周病で抜歯を行った方が
良いケース
- 対症療法をしても、食事の際に痛くて噛めず、その歯を避けて噛んでしまうようになった場合。
- 頻繁に急性膿瘍が生じ、その周囲の歯の歯周組織破壊の原因となる可能性がある場合。
歯周病のセルフチェック
- 歯磨きの時に出血する
- 歯茎が腫れている
- 朝起きた時に口の中がネバネバする
- 口臭が気になる
- 硬いものが噛みにくい
- 歯がグラグラする
歯周病治療の流れ
事前検査
歯周ポケット診査・レントゲン撮影・口腔内写真撮影等を行います。
歯周病の原因は一人ひとり異なりますので、治療していく前に検査を行い、一人ひとりに適した治療を行っていきます。
歯垢(プラーク)を除去
歯周病の原因は歯垢(プラーク)なので、プラークを除去し付きにくくすることが治療の基本となります。
歯科衛生士による歯磨き指導や歯間ブラシ、デンタルフロスなどで改善をはかります。簡単に落とせる歯石やプラークを落していき、検査にて改善を確認します。軽度の歯周炎の方はここまでで治療が完了します。
歯と歯肉の間に溜まっていた
歯石や歯垢(プラーク)除去
中等度~重度の歯周炎の場合、歯石が深くまであるため取りきれません。このような場合は外科的な治療が必要となります。
麻酔をしてから歯肉の切開をし、歯と歯肉の間に溜まっていた歯石や歯垢(プラーク)除去します。
メインテナンス
口の中の細菌を完全になくすことは難しく歯周病は再発し易いので、治療完了後も定期的なメインテナンスが必要となります。
再発防止には、患者さま自身による歯垢(プラーク)のコントロールだけでなく、定期的に歯科医師や歯科衛生士による検診・治療を受け、歯をメインテナンスすることが重要です。
保険治療について
保険治療の場合
検査内容・検査方法
レントゲン検査、歯周ポケット測定、歯垢の付着チェック、歯の動揺度など
治療方法
歯磨き指導、超音波スケーラー・手用スケーラーを用いた歯石取り、歯周外科治療
治療期間など
歯周病の進行度や歯石の付着状態によって異なります。以下の期間は目安になります。歯周病治療は再発をしやすいので治療終了時から定期的なメインテナンスが必要不可欠になります。
軽度歯周病 | 2〜3週間 |
中等度歯周病 | 2ヶ月 |
重度歯周病 | 2〜3ヶ月 |
歯周病の予防について
歯周病予防の基本は歯垢(細菌)を付着させにくくすることです。
歯科医院でできること
治療後も定期検診で歯肉の状態を確認と再付着した歯石の除去をしてもらいましょう。更にPMTCで日常の歯磨きでは取りきれないバイオフィルムの除去を行います。お口の中の環境は常に変わります。その時のご自身の口腔内の状態に合わせた歯磨き指導もしてもらいます。
自宅でできること
ご自宅での適切な歯磨き(フロスや歯間ブラシなどの補助用具を用いた清掃)が重要です。毎食後10分、20分かけて歯磨きをしていると言う方でも、磨き残しが多い方がいらっしゃいます。ポイントを抑えて「磨いているつもり」ではなく、「磨けている」歯磨きを身につけましょう。特に就寝時は唾液の分泌が減少するため、口腔内の自浄作用も減少。細菌が繁殖しやすくなってしまうため、夜寝る前の歯磨きが大切です。
歯周病の治療法
スケーリングとは
歯の表面に付着した歯垢、歯石などの付着物の除去することです。
スケーリングの必要性
歯石自体は無機質のため、細菌は存在しませんが、表面がデコボコしているため、細菌の温床になってしまいます。
歯周外科治療(フラップ手術)
歯周ポケットが深く、SRPによる歯石除去が難しい場合に歯肉を切開し、直接歯の根を見ながら歯石除去を行う治療のことです。
フラップ手術で期待できる効果
深い歯周ポケットがある場合、フラップ手術を行うことで歯茎が再度歯へ付着することで歯周ポケットが減少します。
歯周病の
症状段階別の特徴
歯肉炎
(歯周ポケットの深さ1〜2mm)
歯茎のみに炎症を引き起こしている状態です。
痛みといった自覚症状はほとんどありませんが、歯磨きの時や硬いものを食べた時に出血しやすくなる場合があります。
軽度歯周炎
(歯周ポケットの深さ3〜4mm)
歯を支えている骨(歯槽骨)が溶け出した状態です。
歯磨きの時に出血したり、歯がうずく、歯茎が腫れぼったく感じるなどの症状があらわれます。しかし一般的な初期段階では、まだ無症状なことが多く注意が必要です。
中等度歯周炎
(歯周ポケットの深さ5~7mm)
歯を支えている歯槽骨が1/3~2/3ほど溶けた状態です。
水がしみるようになったり、歯磨きをすると歯茎から血が出たり、歯茎が腫れたり治ったりの症状を繰り返します。また、歯がぐらぐらと動揺しはじめ、膿が出たり口臭が強くなる場合もあります。
重度歯周炎
(歯周ポケットの深さ7mm以上)
歯を支えている歯槽骨が2/3以上溶けた状態です。
歯の周りを指で押すと白い膿がにじみ出て、口臭が強くなる場合もあります。歯磨きの際には頻繁に出血するようになり、歯が動揺して硬いものが噛みにくくなることがあります。放置してしまうと、歯が自然と抜け落ちるケースもあります。